UTokyo bicycle racing team

ツールド北海道 -2013-

第1ステージ(9/14)
 倶知安町ヒラフスキー場 - ニセコ - 倶知安町ヒラフスキー場 180Km
いよいよ始まったツールド北海道。いきなりクイーンステージの様相。準備はできることはしてきたと言い聞かせてスタート位置に着く。号砲とともにレーススタート!初めはパレード走行だが雨で周りが自転車でひしめいている、正直集団になれていない自分にとっては相当に怖い状況であったがインカレのように無理に前へ前へという人が少ないので安心して走れる。本スタート直後からアタックが散発しているのかペースは少し上がるが着いて行けるレベル。チセヌプリで相当に上がると個人的に予想したいたので少し飛び出しておいてペース走で走りたいと思っていた。下りを利用してエアロポジションとったら上手くそのまま飛び出せたのでLT下くらいで独走開始。その前に数人の逃げがいたし、東大ごときは眼中にないのでだれも追ってこない。20分ほど一人で走り、1/3くらい上ったところでアンカーが先頭に立ってビシビシとアタックしていた模様で徐々に差が詰まり追いつかれる。その後出力は上がっても残り距離は2/3程度だったのでメイン集団からはちぎれるが、予定通り実業団が大量にいる集団と一緒に頂上を越えることができて恐怖の下りへ。90km/hくらい出ていたが、ここでもインカレなどでありがちな無理な割り込みがないので恐怖は不思議となかった。あっという間にメイン集団復帰してまた一塊となった。ここからがしんどくて、しばらくしたら何でもない登りでちぎれてしまった。一人旅を開始して脱水になりながら後続を待っているとやっとの思いで東大グルペットが来て、最終的に東大2人+順天1人+コルバ・スペラーノハム1人でTTTをしてギリギリ完走。
そういえば、チセヌプリの飛び出しはアタックと思われて、テキストライブでも自分の番号、195番が書かれていた。シマノライブブログにも名前が出ていた。自分は結果は残せないだろうから、東大が目立つという意味でもやった甲斐があった。と、ミーハーに喜んでみる。

第2ステージ(9/15)
 倶知安町 ヒラフスキー場 - 神恵内村 - ヒラフスキー場 132Km
今日も雨。ステージ概要としては、平坦ステージで行って帰ってくるのみ。横風だけ注意しながら走っていると、帰りのトンネルを抜けたところでたぶん止められている対向車をよけるためにブレーキをかけたのがきっかけとなりスリップして20台くらいを巻き込む集団落車。3台くらい前がこけたのでブレーキをかられたものの、追突して落車。運良く肘に小さな擦過傷だけで体は問題ない。自転車はチェーン落ち以外大きな被害がないため、再スタートして集団復帰。帰りにKOMが設定されている箇所があり、そこでペースが上がる。KOM直前でちぎれ、後はグルペット完走。

第3ステージ(9/16)
 倶知安町 ヒラフスキー場 - 小樽市 望洋 サッカー場 116 Km
いよいよ最終日。そして、またしても雨。今日は峠が三つ。2つめの峠、KOMを乗り越えられれば後は何とかなるだろうと思っていた。そして、予定通り無事KOMを通過。最後の登りにむけて距離を減らしていく。ここで目標だった完走と言うことが現実的になり、ちょっとだけ自分の自転車人生を振り返って目頭が熱くなった。しかし最後の峠直前でちぎれ、チームカーを見送ったところで、自転車人生最大のドラマが待っていた。フロントディレイラーがなんとフレームから外れてしまい、漕げなくなる。さらに外れたディレイラーが後輪に当たるため、いつ巻き込むかとひやひやしながらなんとか下りきって残り数キロ、この登りを上ったらまた下り、というところでリアディレイラーがハンガーごと折れて、いよいよ何もできなくなる。チームカーのサポートを依頼するもゴールしてしまっているので来てくれるかどうかもわからず、オフィシャルバイクに相談し救護車の窓を持っていいと言われた。登り切って、あとはゴールをクリート靴で走りながら通過。その姿はまさに「シャカリキ」のTour de Okinawaの最後のシーンそのものだった。しかしゴール地点にいる審判が車の窓を持っていたということでDNF扱いにすると伝えにきた。その時は漕がずに10km以上下ったので低体温症になっておりバイクに許可されたことを伝えられず、このまま正式リザルトになった。430km走って最後の数キロでよりによってメカトラで完走できなくなるとは夢にも思わなかった。というより、それなら正直オフィシャルバイクも窓を持って良いと言ってほしくなかった。気合いで走れば数キロなら10分くらいで走れたかもしれない。しかし、すべては後の祭…。放心状態のまま閉会式を迎え、最初で最後の北海道への挑戦が終わった。完走していれば年齢が上から5傑くらいに入っていたようだ。残念。

 今回はなるしまフレンド小峰さんにメカニックを依頼させていただき、何から何までお世話になりました。店を休んで帯同を許可いただいたなるしまフレンド鈴木さんには感謝の気持ちでいっぱいです。
 サポート面では日直商会様よりPro4 Race SCをご提供いただけました。3日間すべて雨という厳しい天候の中、学生ながら下りでは落車を心配することなくコーナーを攻められ、実業団選手とのテクニックの差をタイヤで埋めることができました。ありがとうございました。アップでもいつものようにTACXを使わせていただき、初めのアタック合戦でも十分体が暖まった状態で挑めました。
 OBの方々には今回も寄付、及び応援に直接いらしていただけました。岩崎さん、小藤さん、谷川さん、宮崎さん、相沢さん、恒松さん、金銭的援助から声援までありがとうございます。また、東大チームに声をかけていただいたお姉様方(お名前を伺うの忘れてしまいました)も本当にありがとうございます。完走扱いではないものの、声援の後押しがあって、そしてゴール地点で皆に会いたいという思いがあって最後のゴール地点をくぐることができました。
 チームサポートをしてもらった中村洋和君、中野君、競技に集中できる環境を作ってくれてありがとう。学生スポーツをやっていた身として言えることは、今回の様なチームワークをした経験はいつか良い思い出として思い出すはずです。また、一緒に走った谷君、浦君、林君、来年は完走以上の結果を残すことを期待しています。まだまだ成長していく姿を楽しみにしています。そして一日目に水田君がボトルを欲しているタイミングで自分もかぶってしまい、大人気なく先にとったら最後のボトルだったため、その後水田君が脱水になって脱落してしまった。水田君の犠牲のおかげで正直あそこまで走れたと思う。ごめんなさい+ありがとう。
 あと、このブログを直接読まれることは絶対ないでしょうが、チセヌプリのダウンヒルで実業団選手から僕に向けていろいろと怒号が飛ぶ中、愛三・中島選手には試合中にもかかわらずローテの仕方など優しくいろいろとアドバイスしていただけました。この場を借りて御礼申し上げます。どなたかお知り合いの方でここまで読まれた方がいたら、陰ながら学生に感謝されていることをお伝えください。

 今年の7、8月以外、自分の練習はローラー修行を週に3時間+月に一回の実走150kmであったが、BlueWych柿木さんのご指導で非常に効率的にこの一年間トレーニングができました。インカレなどのインターバル的な試合では全く通用しなかったがメディオ域が成長し、自転車を再開したときに比べて10分値が100W以上向上し、ツールド北海道でも最後の数キロまで辿り着くことができました。本当にお世話になりました。インカレ後に多少の議論があったが、実走も当然重要だが時間がない人はどうするかと言ったらパワートレーニングだと自分では思う。その上でどうするかは本人が時間を作る努力ができるかだと思います。僕にはその努力ができませんでした。

 知っている人は知っていますが、学連登録ながら自分は現在35歳。昨年娘ができても学業+仕事+自転車で娘のことをほぼ妻に任せっぱなしでした。気づいたらそんな娘もまもなく1歳、立ち上がるようになり、一歩を踏み出せるようになったらしいが、自分はまだ見ていない。娘の成長を目の当たりにできないことはこれ以上自分にとって厳しいし、今回は軽傷だったから良いが落車したら子供が抱けなくなることもあるだろうから今回で自転車レース人生第二幕を閉じようと思った。後はタイムトライアルなど落車がない競技をやるかどうかしばらく休んでから考えてみようかな。家族が理解を示してくれて本当に幸せな1年間でした。


 以上長文失礼しました。最後まで読んでいただいた方はありがとうございます。来年からはレースドクターとして会場でお目にかかることになると思いますが、よろしくお願いします。また、後輩たちの応援含め、東大自転車部を今後ともお願いいたします。

 オリンピックが東京になったし、オリンピックのレースドクターとかやりたいなぁ。どうやったらできるんだろ。知っている人いないかなぁ。
2013年9月17日 山形 研一郎