UTokyo bicycle racing team

ツールド北海道
一日目 完走
インカレでうまくいかなったことから結構びびっていた北海道。何があってもあきらめないと誓ってスタートした。出走してすぐに思ったのが学連レースのギスギス感がほとんどないこと。あの雰囲気があまり好きじゃないのでかなりありがたかった。パレード終了後、自分の少し前で落車が発生し急ブレーキでなんとか回避。浦さんも近くにいたはずなのに姿が見えなくて、まずいなと思いつつも浦さんを待つほどの余裕があるわけでもないのでそのまま追走。プロの復帰に乗るとすぐ復帰できたので安心したが、やや足を使う感じがあってなんか雲行きが怪しい。不安になったが、東大を見つけて話すうちに安心した。そうこうしている間に集団は本当のサイクリングペースになる。ここからホットスポットまではあまり印象に残ることはなかったように思う。ホットスポットを過ぎるとややペースアップ。しんどくはないものの、続いてほしくないなというペース。結局大したことはなかった。
失敗したのは補給。補給区間で右側で突入し、急に左側に行くのも危ないので手前の谷さんはスルー。植田はどこだと見ていたら通り過ぎてしまった。そんなにボトルを消費していなかったので大丈夫かなと思っていたけどこれがなかなかの誤りだったと思う。
補給地点後は一回目のKOM。生駒さんがきついなと話しかけてくるも、本当にしんどくなくて驚く。ただただ足が削られるだけで、しんどい感情はなかった。たぶんアドレナリン様のおかげなのだろう。気づいたらKOMも通りすぎて下りへ。自分は下りが下手だなと最近激しく思っていたけど、やっぱり少し怖くて突っ込めない。ただ道は覚えていたので集団からは遅れることなく下りきり、ダムも普通にやり過ごす。このあたりから攣る気配がしてきてダンシングが怖くなる。2回目のKOMはポジションを下げつつ登り切るがこのとき脚は死にかけだった。下りは集団のしっぽで残るが下りの途中の小さな登りで脚が思い切り攣る。うめき声を上げつつなんとか登り切るが、やや千切れた状態では集団に戻れない。復帰しようとしたけどこのとき脚は死んでいて言うことを聞いてくれなかった。平地に戻ると後ろからチームカーがやってきて補給をくれる。ここ辺りで回せる人を探すも、死んでいる人たちばかりで一人の方が楽だったので、しばらく一人旅。TT系の姿勢だと踏めるようで案外速く進めたが、やや絶望していた。ルートを描いた紙に「ゴールまで頑張れ!」と書いていたのを何度も読んで元気づけた。インカレでサポートのみんなに顔向けできなかったあの思いを思い出して、痛かろうが何だろうが最後まで踏み抜かなくちゃいけないと何度も考えたら、案外元気になるものである。登りは本当にゆっくり登って、後ろから来るのを待っていると、貫名と思しき影が。すこし嬉しい。でも合流後貫名が断末魔の声をあげて消えて行って、今度は北海道選抜の方と二人。登りが強くて結局最後は千切れたけれど、かなり助かった。残り20㎞、10㎞を見てFADになるかはわからないにしても、ゴールまでは行けるぞと確信。このときふくらはぎも四頭筋も本当に痛かったけど気持ちで踏む。5㎞くらいから再び一人なったが、ずっと独り言を言って自分をはげましていた。そのまま気持ちでゴール。先頭と21分ほどの差で台風のおかげで完走となった。ありがたい。ゴール後はなんでこんなにつらい競技が成り立っているんだと叫びたかった。それでもやっぱりうれしいのはうれしいもので、第一段階の目標は達成できたと安心した。
二日目
朝起きると昨日の痛みがかなり残っていてやばいと思ったが、出走してみると案外動いてくれる。今日は十勝岳を集団で登ることを最大の目標としてとにかく粘ろうと決める。
序盤は逃げがなかなか決まらないようで小さなアップダウン、コーナーがかなりしんどく、死にもの狂いでついていく。最初の1時間はかなりきつかった。逃げが決まると一変して昨日よりもまったりしたサイクリングに。東大チームの5人が1列でおしゃべりするという事態に笑。そのまま48㎞地点のエアーズロックを通過し、十勝が近づく。補給前に浦さんの近くにいて、このままじゃまずいからポジションを変えなくてはと思うも、このとき集団は小さなペースアップ状態でポジションを落とすしかできなかった。まあ大したことはないだろうと思って少し後ろにいき、補給を取ろうと谷さんのところに行くと、目の前で落車。そのまま突っ込み自分も倒れる。谷さんの目の前だったので、自転車を起こしてくれて気づいたら再び自転車に乗っていた。どれだけロスしたのかはわからなかったけれど、目の前に集団はいない。植田からサコッシュを受け取る冷静さはあったけど、集団がいないことでパニックだった。復帰しようと頑張るも、無駄足を使っただけのようで十勝頂上付近でタイムアウト
もし落車がなくても完走は厳しかっただろうと思うけど、それでも自分の実力によってDNFになりたかった。こんなに幸せな試合なのに他人のせいにできる状況が嫌だった。もちろんトラブルがあっても復帰できる強さがあれば問題ないし、(現に自分の前で落車した選手は戻って完走している)ポジション取りも悪かったのかもしれない。それでもifを感じることが悲しいなと本当に思う。
そのあとはホテルに帰りサポートのお手伝い。選手が5人から3人になり、サポートが3人から5人になって楽なはずなのになかなかの仕事量で、本当に谷さん、植田、和泉さんには頭が上がらない。
3日目
この日はチームカーでサポート。レース展開を追えて楽しいかもと思ったが、やっぱり走る方がはるかに楽しい(こんなこと言ってサポートの方には申し訳ないなと思っています)。1日目に二度とこんなにつらい思いしたくないと思ったけど、どんなにつらい思いをしてでも目標を追いかける楽しさは格別だったし、1日目の完走はやっぱり自分にとっては幸せなことだった。ゴール後林さんが二度とやらねえよと言っているのを聞いて幸せなんだろうなとすごくうらやましかった。練習するしかありませんね笑

この北海道で自分にとっての自転車観が大きく変わったように思います。生き地獄だけどここでしか味わえない快感がありました。この感覚を味わわせてくれた方々には感謝しかありません。北海道に連れて行ってくれた浦さん、サポートをずいぶん前から念入りに計画してくれた谷さん、植田。試合のこと、準備のことなど監督がいないと回らなかっただろうし、OBの方々にはたくさんの寄付金、そして機材を貸していただいたりしました。当日には和泉さんもサポートとして動いていただき、また恒松さん、小藤さん、宮崎さん、水田さんははるばる北海道まで応援に駆けつけてくれました。すべての人に感謝しかないです。本当にありがとうございました。