UTokyo bicycle racing team

こんばんは。ついに昨日、現役最後のレースであるインカレロードを終えました。チームマネージャー植田です。写真多めでレポートをお届けします。

◆9/3(四日目)男女ロードレース
選手が女子1名男子6名、四年間で最多となったこの日のロードは、わたしにとっても大舞台。 とはいえ、 いつも通りのサポートが基本で、全員分の機材状況を把握し、代車代輪を決定し、整備指示をまとめ、積み込みの内容を確認し、ボトルや補給をそろえる流れをきちんと守れば問題はなし。 インカレの一カ月くらい前から、院試勉強で忙しく気が狂いそうになりながら、なにかをつぎ込むように例年以上に気合を入れて準備を進めてきました。
院試終了後合宿に合流し、出走を断念せざるを得なかった秋山くん、また出場しない上級生選手の手を借りながら前日までに機材最終整備をすませ、下級生たちにサポート指示を出し、準備は万全。

東大チームひさびさの女子レース出場で、会場入りは6:15。りほちゃん到着前にローラーを準備し、テントを張って、補給列の場所を押さえ、代輪をPITと共通機材車に配置。戻ってきて検車と同時にアンチドーピング書類を提出したら、すぐに出走の7:45。

出走直前、監督から展開の最終確認を受けるりほちゃん。今回はさつきちゃん・安西くんが主に写真を担当してくれました!

女子レースは一周目から各選手の思惑がありガンガンペースが上がる苦しい展開。予定通り他の選手と回していくりほちゃん。残念ながら完走はかないませんでしたが、ひとつの大きな経験になったと思います。

女子レース後、男子レース。
例年通り長蛇の列の検車を9:15過ぎにすぐクリアし、十分なアップをしたうえでスタートラインへ。代輪とドリンク、上着を持って選手に帯同。スタート位置が大きくばらけてしまったときのためにそれぞれ担当を決めてあり、わたしはこういっちゃんについていました。「クリートに泥が詰まっちゃった!取りたいんだけど!」という生駒さん、「普通そんなに詰まらないですよ、どんな歩き方してるんですか」と冷静に突っ込む長岡くん笑、緊張しっぱなしのこういっちゃん、同じく緊張しているものの自分のやってきたことに信頼を置いているようすの平山くん、いつも通りちょっとハイテンションで待つ新谷くん、応援を受ける貫名くん。

インカレともなると応援の方が多く、OBの小藤様、柏木様(私自身はお会いできなかったのですが恐らく)岩崎様、水田様、谷様、金子くん、役員で白石様、宮崎様においでいただいたほか、選手ご家族の方にもたくさんおいでいただきました。ありがとうございます!

平山くん。密集する選手たちの中からスタート。レースレポートはこちら
10:00出走後、わたしとスタッフ二人、そして背が高く補給列に最適という理由で選出された山本くんは補給PITへ。レース開始です。

長岡くん。レースレポートはこちらをどうぞ。

初の選手権大会出場となった新谷くん。レースレポートはこちら

中盤まで集団前方をキープする貫名。

フィニッシュライン前劇坂をのぼるこういっちゃん。
出走してしまえばできることはほとんどなく、補給を確実に渡すこと、気温が上がっていない分意識的に水分をとるように声をかけること、タイムギャップと逃げの選手を伝えることだけ徹底します。こういっちゃんは専用ドリンク、その他の選手は通常ドリンク。タイミングを見計らってドリンクと水、ゼリーを渡し分けられるよう準備しました。

生駒さんは見るからに余裕。 中盤、生駒さんにドリンクを渡したところ。いつも通りわたしが立つのは補給列最前。

これはだいぶ集団の人数が絞られたころでしょうか。 逃げの追走を二回かけ、本当に今まで見た中でいちばん楽しそうにレースを展開していました。 本人の練習日記をぜひご覧ください。

そしてゴール!

ゴール後興奮のままにものすごい勢いでしゃべり続ける生駒さんと、不本意に欠場となったものの、この一カ月東大の練習底上げに尽力し、チームとしての底上げを図ってきた主将秋山。生駒さんが秋山くんに感謝しているのが印象的でした。ちなみにわたしはこのあと、色々な分泌物によりでろでろになった生駒さんに水をかけて洗浄しました。笑

生駒さんは18位で1ポイント獲得。東京大学チームとして、ロード対校順位10位を獲得しました。生駒さんが「植田が同期でよかった」とレースレポートに書いてくれたこと、本当にうれしいです。ありがとうございます。

こうして今年のインカレは幕をとじました。協力してくれた後輩たちに感謝します。ありがとう!
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二年生くらいからはずっと四年生に間違えられ、「もう引退だね」と言われていたわたしにも笑、ついに本物の引退の日がやってきました。部員たちすらきちんと知らないであろう話を、こっそりと(?)綴ります。

わたしの競技班での生活は、選手のために尽くす自己犠牲だとか、美しい献身の精神だとか、そういうものに酔う気持ちで始まったわけではさらさらなく(すみません笑)、レースの外でもチームとして働くことの意味を作り上げていくこと、マネジメントに興味があって始まりました。
所属大学と自転車以外のつながりのない、ある意味独立な人々が構築している集団をどう動かし、どう一つに見せるか、そしてどう実際に一つにするかという、自分の意志では動かない因子が重なり合って作っていくものが、おもしろいに違いないと思ったのだと思います。いまだから言えることですが、最初のうちはチームに大きな愛着があったわけでもなく笑、ただただ対象として見たときの「東京大学運動会自転車部競技班」が面白いものだと感じていました(いまは大好きですよ!笑)。

実は入部してすぐ、ちょっとだけ、部をやめようかと思ったことがあります。
高校野球のマネージャーの行動が大きな話題になった時です。「マネージャーは雑用係、いいことをしているつもりで遊んでいるだけ」という世間一般の風当たりが強く、揶揄される対象であることを知りました。そのころ知り合った人にも「何のために選手ではなく運動部に所属するのか」と暗に理解できないと示されたり、「することなんて特にないんでしょう」と明らかな敵意を受けたりすることもあり、今後その理不尽に耐えられる気がしなかったのです。

それに屈することなく続けることを選べたのは、東大自転車部の気風のおかげにほかなりません。
レースのことも機材のことも、尋ねればなんでも教えてもらうことができるのはもちろん、何でもやってみたいと言ったら任せてもらえ、評価してもらえる環境でした。 わたしは、部員たち、そして監督、OBの皆様方に雑用係として扱われた記憶は、ただの一度もありません。一年生の夏を超えて、まだ経験の浅いわたしが奔放にいろんな仕事を始めたときも、おもしろがってもらえることが非常に多く、とても励まされたのをはっきりと覚えています。選手でない立場で、以来ずっと、これほどたくさんの方からの反応を受けることができたのは、稀有な経験だと思います。 すでに卒部されていた先輩方も含め、選手たちは不安に思うこともあっただろうし、余計なことをする一年生だと思っていた人もいたりするのかもしれません(と今でもちょっと不安に思っているのです笑)が、それでも黙って見守っていただいてきました。
今改めて振り返ってみて、類のない恵まれた環境を得たものだと思います。順番は違うかもしれないけれど、わたしは今、チームのことも、個々の部員たちのことも大好きです。


入部以来、個人ロード優勝、国際レースツールド北海道出場、全日本出場、久々の複数人数の選手権大会完走と、たくさんの大きな舞台と、ほとんどの部員の昇格を見てきました。
2015個人ロード、ゴールしてすぐ向かってきた浦さんが「ありがとう」と言ってくれたことも、2015ツールド北海道出場が決まった時、選手たちが一番にサポートとして指名してくれたことも、同期たちが植田は絶対大きい試合には来て、と常々言ってくれたことも、いつもはそんな素振りを見せない後輩たちが「植田さんはすごいですよ」と言ってくれたことも、「植田さんの働きが部の外から見てもわかるようにしたほうがいい」という理由で「チームマネージャー」という役職をわたしのためだけにつくってくれたことも、いくら見返りや感謝を求めていないとはいっても、やっぱり全部とても嬉しかったです。
本当に、ここに所属できてよかった。チームに所属するということがこれほどいいものだとは思いませんでした。

マネージャーである以上、選手と違い、自分の戦績という形で何かを残すことはできません。その代わり選手のために、それ以上にチームのために何が最善か考えることが求められます。非常に難しいことではありましたが、ただただ楽しかったです。
今年3月、新入生向けのスタッフ勧誘ページにひっそりと、「ただ待っているだけで人に見せてもらう夢なんて、まっぴらだ」というキャッチコピーを書きました。これがわたしのスタッフとしての姿勢であり、誇りです。
表に出ることも出ないことも、やりたいことを、たくさんやってきました。無自覚に用意されたことをこなすだけで終わってしまう4年間では、決してなかったと胸を張れます。

わたしが何か残すことができたのかどうか、これからのチームがどうなっていくのかはまだわかりません。変わらないでくれとは思っていません。その都度考えて、チームは自分たちが作るものだという意識をもって、進歩を続けてください。後輩たちがまた少しずつ新たに構築していくものを見るのが、わたし自身とても楽しみです。
何年後になっても、チームが、その時の部員たちにとってよい集団であるようにと願っています。

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以下、私事にはなりますが、 この場をお借りしてお世話になった皆様に。

いつも現役を気にかけてくださり暖かく応援してくださった東大自転車部OBの皆様。 手厚いサポートと暖かいお言葉で部を応援してくださった日直商会様、特に東大自転車部競技班を担当してくださり、選手たちをずっと暖かく見守り激励してくださった水口様。わたし自身、水口様の「植田さんのマネージャーとしての任も残り少なくなってきましたね。全てが充実したレースでありますように」というお言葉が本当にうれしかったです。 部の強さを支えてくださりたくさんの興味深いお話を聞かせてくださったBlue wychの柿木克之様、軽快な口調で選手を鼓舞してくださった同・柿木孝之様。たくさんの提案をしてくださり、試合前にはたくさんの機材を準備してくださったASTUTOのTim様。ショップに伺うたびわたしにも面白い話を聞かせて下さり、活動を高く評価してくださったSportBikesHiRoadの青山様。そしてtwitterFacebookを通して応援してくださった皆様。

マネージャー業務用アドレスを取得した二年夏からの通算で,送信メールは1200通。単純に数で測れるものとは思いませんが、いかにたくさんのことに関わらせていただいたか、という重みを感じ、噛みしめています。

他大学では、林さんと和泉さんをけしかけてわたしの入部のきっかけを作ってくださった触媒(?)慶應朝比奈さんをはじめとして「最強」と称してくださった慶應のみなさん笑。一年冬から合宿をきっかけに本当に仲良くしてくださった順大のみなさん。当時自転車界に友達がほぼいなかったわたしと仲良くしてくれた駒澤杉野くん、慶應麻見くん、宮本くん。全日本クリテでどこの大学の人かもわからず話しかけたのをきっかけに知り合った尊敬する同期・京大あやのちゃん。会うたびに「うえださ〜ん」と寄って来てくれるかわいい後輩の慶應萌花ちゃん。面白い企画があるたびに声をかけて下さり、これからの大学自転車界についての熱い話をしてくださった慶應の前学生委員長・方山さん。学生委員を務めたのは一年足らずの期間だったにもかかわらず、その後もたくさん声をかけてくださった学連役員の皆様。

部内ではマネージャーとしてのわたしの産みの親・林さんと和泉さん、育ての親・谷さん、ツールド北海道のサポートに迷いなくわたしを指名してくださった浦さん、それぞれ個性的な後輩選手たちとスタッフ。そして、三宅監督。三宅監督がいろいろなことを教えてくださり、たくさんの方に紹介してくださったおかげで、わたしはとても動きやすくなりました。

そして最後に、わたしが雑用でない存在としていられた大きな理由の一つ、同期たち。
「サポートはよくわかんないけど、植田がやってくれてるなら大丈夫だから任せるわ!」と言い切ってくれた生駒さん、二年夏からずっと主将で、思考停止せず一緒に部のことを考えてくれた秋山くん、一足早い三年夏での引退のとき、植田にまともに走っているところを見せたかったと言ってくれた金子くん、いつの間にか(たぶん笑)心を開いて、全面的に信頼してくれた貫名くん。彼らには本当に感謝しています。同期たちが信頼してくれて、好きなようにやってくれと言ってくれたことが、どんなときでもこれ以上ない支えでした。とても、本当にとても、大好きです。

四年間を通して、ここには挙げきれないほどたくさんの方にお世話になりました。関わってくださったすべての方に感謝しています。本当に、ありがとうございました。

どうぞ今後とも、東京大学運動会自転車部競技班を、よろしくお願いいたします。