UTokyo bicycle racing team

東日本選手権参戦。レポート

ピストの本格シーズンが到来。真性ピストライダーたちが冬の目覚めから記録会で基礎を積んできて、がちがち肘突き合わせて戦う季節が今年もやってきた。僕はピストライダーというにはとても遠いが、スピードワークの一環として臨む。天気は両日とも猛暑。特に今日(10日)はかんかん照りの日差しが照りつけ、金曜までの雨の名残の湿気とあいまって、少々辟易するほどの暑さだった。

個人的に出場する種目はスクラッチの1種目。それから団体種目として団体追い抜きに出場するだけだったので、割に観戦する機会が多かった。全体として、ややどこの大学も練習不足?気味のタイム・調子が目立ち(うちも例外ではないが)、昨年までの強豪選手はやはり強いが、一年生の中から一部スーパールーキーみたいなのも目に付いた。

初日は細川・森泉ハロン・千トラなどに臨むが、低調。自己ベストを更新しないと二人はまず試合に出られないというつらい立場。短距離界は厳しい。技術的な面も多々あるとは思うが、多分根本的な身体的能力を最大限伸ばさないとつらそうだな、と外の視点として思った。

団体追い抜きはまたも空中分解を引き起こしてしまった。多々事件が起こったが、監督の指示通り思い切って最初に突っ込んだら、割に足の調子が良くてオーバーペースをつくってしまい、あまりの練習とのスピード差で大田さんがつきミスするというどこかで聞いたことがある展開にそっくりになってしまった。多分僕の一番大きな咎は、福島で3日間ステージレースみたいな恐ろしいトレーニングをこなした後の足で団抜き練習をして、ターゲットとするタイムを出すのがとんでもなく難しいと考えすぎていたところ。実際にはフレッシュな足で臨めばそれほど困難なタイムではなかった。この日周回練で51があまりに簡単にまわるところからもなんとなく、練習と感じがずいぶん違うなと感じていたのが的中してしまった。しかも、途中でペースを少しずつ引き下げたつもりの周もあったのだが、実際にはあまり下がっていなかったらしい。結局古居の機材トラブルなどもあり(教訓→少なくとも周回練では本番の機材をテストしておく)、ひたすら後ろを待つことになった。
失意の中、出る種目が少なかったので、はやばや帰宅。スクラッチのメンバーに日大が6人もいるのを確認して、余計失意のうちに睡眠。

2日目の最初は坂田さんと古居のケイリン。写真を撮りながら観戦していたが、2人とも他人をうまく使うことに執心しすぎて、結局機を失っている感じ。後で場所を取り返すよりも、ある程度足使ってとったポジションを守るようにしないとうまくいかないらしい。残念だった。その他もパワフルなケイリンスターたちの走りを堪能。
見る分には大変面白いポイントレースを観戦。全体的に本当に実力がある人達が最後まで出し惜しみをして取り返しのつかないことになっているパターン。確かに新鋭の1年生達も強かったが、真の強豪たちはあまりに守りに入りすぎていたのではないだろうか?今回自分は前回優勝者としてスクラッチに乗り込むが、あくまで攻撃的にいくことを決心。やっぱりレースの基本はアタックだ。

午後一番には大田さんがいきなり1分9台の千トラをみせ、盛り上がる。やっぱり1分10を切るとなにか別の競技に見えるようです。やばいスピードだ。勢いを受け継ごうと思う。

アップは主に高木さんとロードで行い、スクラッチ本戦。メットキャップ1番なのでローリングの先頭。じりじり上バンに上がるが、誰もついてこない。それなら、ということで気合の先制パンチハロン掛けで反応を見る。思ったより周囲の対応が遅い。日大が少しずつ追いついてくるのと、野田さん、中央豊住選手ぐらい。しばらく上がってきた少数とローテーションをまわすが、みんな先制パンチを見せたせいかゴリ踏み。かなり速い。

当然ながら日大は数の利を生かして逃げを出したい。が、集団に僕が残っているのが想定のはずで、僕まで全開で来るのは想定外のよう。迷っているのか、彼らはアタックしてはふらふら上がるので脅しつつ前に留まる。少し離れた集団ではそこで足を休めている他大の選手が見物をきめこんで、こんな序盤で決まるはずはないと思って安住しているようだ。だけど僕はここで決めてやれと思った。

豊住選手のアタックがかかる。追走は僕や富士大学の選手など。富士大学の選手はパワーありすぎで彼の加速にあっというまに置き去りにされるがイーブンでなんとか追いつく。(この人だけはゴール前に一緒にいまいと決心する)しっかり日大を1人入れ、後ろを抑えてもらう。

豊住選手も日大の選手もそれなりに強いが、ある程度後ろと差が詰まったところでハイスピードを協調して維持する感じが無くなる。不信が逃げ集団に漂っている。しかし僕はなおもスピードを緩めなかった。これが協力できたら確実に決まるが・・・・。

一列棒状、僕ら3人と集団の間にぱらぱら。13周目頃についに豊住選手と日大の選手が切れる。(というかあきらめていった)とっさに判断の時がきた。矛を収めて次に備えるか、茨の道に攻め込むか・・・・地獄へ

ペースアップ、独走開始。差は半周ほどまでは開いた。そこで止まる。10周回を見た瞬間ここから個抜きですか!と思って若干絶望するが福島の登りカーペーサーの絶望を思い返して踏みとどまる。7~8ぐらいで一度差が縮まって、これは・・・と備える。しかし差は戻った。

残り5周。差は変化していないが未だ不透明。日大によって最後を狙って泳がせられている可能性を捨てきれない。限界より少し下で巡航して事に備える。

残り2周、集団が限界であることを悟る。

残り1周、全ての力を解放する。価値ある苦しみだ。そして、やり遂げました。

昨年は無名性を生かしたフロックだったと思うが、今年は完全に実力でやりきることができたと思う。色々得たものはロードの中で有効に利用されるだろう。

サポートを行ってくれたチームのみんな、岩崎さん、監督、両日ありがとうございました。