UTokyo bicycle racing team

ツール・ド・草津(入賞)

 4月15日(日)に行われた、「第12回ツール・ド・草津」に出場しました。ヒルクライムレースのシーズン幕開けを飾るこのレースは、2年前にツール・ド・フランスの覇者グレッグ・レモンが出場したこともある大きな大会です。ちなみに2年前のその時期の僕は「ツール・ド・八ヶ岳」に出場し優勝しましたので、今度は出たことのないこちらのレースを目標としました。
 ただ、あろうことか、今年から年代別カテゴリーが廃止され(今までは10歳刻みだった)、一般ロードレーサーというひとくくりに。当然、同一カテゴリーの人数は膨れあがり、なんと約1000人! 2、300人相手ならまだしも、1000人もの中でトップゴールできるのか? そもそも1000人が同時スタートでレースが成り立つのか、と思ったら、スタートは2グループに分けて行うとのことで自分は第2グループ(この設定が後ほど曲者に……)。
 「ツール・ド・草津」は、草津温泉を出発地とする標高差800m、距離18km(ただし温泉街のパレード込み)の、ヒルクライムとしてはあまり厳しくないレースです。シーズンインにはもってこい。ただ、あいかわらず自分の調子は上がらず、体重も予定よりオーバー。これで山を上れるのだろうか? ちなみに今年になって練習は早朝の皇居周回とローラーばかりで、全くと言っていいほど山には上っていません。そんな中、3月の修善寺JCRCのZクラスで入賞できたことだけが多少良いニュース。
 あいかわらず仕事は忙しく、4泊5日、週100時間の労働を終え、当直明けにそのまま草津へ。草津に到着したのは夕方。締め切り時間直前に受け付け。すぐに宿に入り食事。ずっと病院に泊まり込みだったので、自転車に乗るのはしばらくぶりだ。そのわりには筋トレのせいで足が筋肉痛だ。年のせいか全然疲れが抜けない。そんな中、娘は旅行気分で大騒ぎであまり眠れない。
 レース当日。あいかわらず筋肉痛だ。朝食後、僕の補給食を食べてしまった娘を妻に預け、レース会場へ。良い天気になり、暖かい。半袖+アームウォーマーで待っていても寒くないほど。昨日までの強風も収まっている。
 知り合いと話をしつつ過ごし、緊張感は全くなし。スタートするも最初は下って温泉街を回るパレード。沿道には応援の人々がたくさん。手を振りながらゆっくりと走る。途中で立ち止まってトイレにも寄り、気づいたらスタートラインを越えていて、チップでの計測が始まっていたという何とも緊張感のないスタート。先頭集団というのも形成されず、とりあえず1人で上っていく。次から次へといくら抜いても、1000人のカテゴリーだけあって人が途切れることはない。
 コース自体は楽だ。傾斜は富士スバルラインよりも緩く、それが一定で続き、緩急の差は全くといっていいほどない。スピードはほぼ一定。
 そしてようやくそれなりに速い人たちに追いついた。後ろにつくと楽過ぎる。それならば前を引いた方がいい。それからはあまり後ろを気にすることなく、ずっと前を引き続ける。しばらくして後ろを振り返ると、2人ついてきていることを知る。レースらしくなってきた。
 まだまだ残りは長そうだ。標高の上がるペースが遅く感じる。コースを知らないので辛い。辺りの風景は開け、とても気持ち良い。時折、硫黄の匂いがして熱気を感じるところもあれば、雪の残るところもある。
 まだまだ長いと思われるところで抜け出し、ペースを落とさないようにして脚を回していく。そして前を捕らえた。言葉を交わし、ここが第2グループの先頭だということを知る。誰かと思えば、去年、いくつかのヒルクライムで張り合った選手だった。去年は負けたので、今回はその雪辱を果たすことにする。そのまま抜き去る。ここからは1人で走り続け、遂にゴールが見えてきた。背後を振り返り、2位の選手がかなり離れていてゴールスプリントをする必要がないことを確認し、そのままトップでゴール!
 終わってしまえばすがすがしい。標高2200m弱の周囲には雪が多いが、日差しが暖かく気持ちが良い。温かなココアも振る舞われる。
 そして下山の気持ち良いこと。広い視界に雪を頂いた山脈が連なる。下りなのにこんなに上ってきたのかと思うほど長い。防寒はレインウェア1枚で充分。下りきったスタート地点では具沢山の豚汁とバナナが振る舞われる。タイムを記した完走証もすぐに受け取れた。
 気になるのは本当に1位なのかどうかということ。確かに第2グループのトップでゴールしたが、成績は第1グループとの合算約1000名で出されるのだ。タイムは去年の優勝タイムよりは遅い。後は結果待ちだ。
 しばらく待つ。そしてその結果は……5位。優勝でなかったのは残念だが、とりあえず入賞(6位まで)だ。本当の同時全員スタートのロードレースなら駆け引きでもう少しいけたのかもしれないが、練習時間もほとんどなく、山にも全く上っていない今の状況で、年齢別でない1000人のカテゴリーで5位ならば、とりあえずは良いか。
 名前を呼ばれ、娘を抱えて表彰台へ。自分で賞状を受け取った娘は、自分が表彰されたものと思い込んでご満悦。僕は重そうな賞品を受け取ったが、アミノバリュー24本、キノコ1箱、スピードメーターと豪華だった(今年からカテゴリーを統合し入賞者が減ったおかげかも)。